2007-01-01から1年間の記事一覧

(123) 信子随筆 「日本はまだ後進国です」

阪本信子 会員 日本の産業技術は先進国レベルでしょうが、政治における後進性は目を覆うばかりで、社会保険庁に至っては暴動にもなりかねないほどの大問題でありながら、役人の無責任に対する日本人の忍耐力に感心するというより、呆れています。 効き目があ…

(122) 信子随筆 「300日問題は平安時代にはあり得なかった」

阪本信子 会員 民法の規定「離婚後300日以内に生まれた子は、実の父ではなくとも母親の前夫の戸籍に入れなくてはならない」の改定について、フランスでは考えられないことと竹下節子さんは評論されます。フランスの夫と妻は男と女の競争原理の中で生きており…

 ◇7月例会のご案内◇

テーマ: 古地図と神戸 日時 平成19年7月1日(日)13:30より15:00頃まで 場所 兵庫県民会館 304号室 JR・阪神「元町駅」の山側、徒歩7分。地下鉄「県庁前駅」1-2出口 参加費 500円(申込み不要・自由参加) 主催 兵庫歴史研究会 問合せ: 078-592-1621 梅村…

(121) 信子随筆 「謙信は鎧兜の晴れ姿」

阪本信子 会員 戦国時代を舞台とするドラマは視聴率が稼げる為、度々NHK大河ドラマに採用されています。 現在放映中の「風林火山」の主役山本勘助については実在説、架空説いろいろありますが、彼の実在説の根拠とされている古文書「甲陽軍鑑」には武田サイ…

(120) 信子随筆 「漢字の手紙」

阪本信子 会員 意味不明の論文などを読むコツは、自分宛の手紙だと思って読むことだそうです。 同じく、私が文章を書くときは皆に手紙を書くような気持で書いています。そうすると難しい内容も易しい言葉で書けるものです。 しかし、携帯電話がなくては生き…

(119) 信子随筆「女の品格 その2」

阪本信子 会員 「女の品格」(坂東真理子著)に書かれている内容は、私達の年代から見れば普通の常識的な女性ならば知っている事です。 しかし、現在はその当たり前のことを改めて言わねばならない世の中になったのか、日本の女はここまで変わったのかと愕然…

(118) 信子随筆「女の品格」

阪本信子 会員 最近のベストセラーズ「女性の品格」(坂東真理子著)を品格に欠ける私が早々に購入しました。 講評によれば、これを読むと女っぷりが格段に上がるそうで、定価720円なりで品格を身に付けようという魂胆です。 結論をいえば書いてある事は私た…

(117) 信子随筆「老後は極楽志向」

阪本信子 会員 平家物語を読んでいると、この人は地獄行、あの人は極楽行と意識して作者が書き分けているのがよくわかります。 地獄行き確定の人、例えば清盛など念仏の一度も唱えず「あっちっち」と悶え苦しんで死にました。極楽行き確定の源頼政は戦いの忙…

(116) 老武者の黒髪かなし

阪本信子 会員 篠原の合戦における斎藤別当実盛の最期の章段は読ませ、聞かせるに十分な趣向がこらされています。 その装束を見ると、どうみても大将にしかみえないが、家来も連れていない、名を尋ねても答えず、手塚太郎が討ち取りその首を義仲の実検に供し…

(115) 故郷に錦を飾る

阪本信子 会員 『平家物語』から派生した伝説、遺跡の類は数え切れないほどありますが、篠原の合戦における斎藤別当実盛の最期の章段は人口に膾炙され、平家物語の中でも知名度の高い逸話です。 彼は「故郷に錦を着て帰りたい」と宗盛に乞うて、「赤地錦の直…

(114) 勝利者は本当に勝ったのか

阪本信子 会員 倶利伽羅峠における義仲の快勝はここで改めていうまでもなく、衆知のことです。 地獄谷に平家の大軍を追い落とした話は多分に誇張されており、平家の軍兵の信じられないほどの減少は逃亡によるものと思われます。 また、倶利伽羅の戦いといえ…

(113) 小よく大を制す

阪本信子 会員 頼朝との和平が成立し、後顧の憂いなしと勇躍平家との戦いに向う義仲ですが、義仲といえば倶利伽羅の戦いは有名で、この完璧な勝利は本人もこんなに巧く行くとは思ってもいなかったでしょう。 平家物語でいう平家10万余騎という軍兵の数は割り…

(112) 濡れ手で泡の勲功第一、頼朝

阪本信子 会員 平家をあれほど見事に西海に追い落とした義仲が、実に簡単に悲惨な最期をとげるとは、歴史を俯瞰できる私たちにはその理由を十分知ることができます。 やはり、政治感覚の欠如は致命傷でした。 頼朝との和平のため、嫡子義高を人質として差し…

 ◇6月例会のご案内◇

テーマ: 神戸あれこれ日本一 日 時: 平成19年6月3日(日)13:30より15:00頃まで 場 所: 兵庫県民会館 1202号室JR・阪神「元町駅」の山側、徒歩7分。地下鉄「県庁前駅」1-2出口 参加費: 500円(申込み不要・自由参加) 主 催: 兵庫歴史研究会 問合せ: ℡ 078-…

(111) 最強のライバルは同族

阪本信子 会員 源氏の白旗は一切染色していないという簡便なものですが、後に余人の使用を許さぬ権威を持ったのは、平家が亡び、世が源氏一色になった時で、武士の棟梁源氏嫡流のシンボルとされたからです。 頼朝は白一色の旗印を源氏嫡流のみに許されるもの…

(110) 赤は中国の正色

阪本信子 会員 所謂源平時代の戦いは源平二氏の争いであり、敵味方の識別は赤と白の二色で用が足りていました。 どちらが先に何色を採用したのかについては、平家が朝廷軍の軍旗であった赤色を先んじて採用し、それに対抗する色として源氏は白色を使うように…

(109) 赤旗、白旗は単なる識別標識

阪本信子 会員 横田河原合戦の地は戦の場になる事しばしばで、頼山陽の「鞭声粛々夜河を渡る 暁に見る千兵の大河を擁するを・・・」は、深夜謙信の千曲川渡河を詠んだものです。 両岸に義仲勢、城助職勢が相対します。義仲は井上光盛勢に赤旗をかかげさせ、…

(2007/05/13) 5月探訪会のご案内

■「西播磨の歴史を訪ねる旅」 主催 兵庫歴史研究会 探訪地 広峯神社・播磨国総社・書写山円教寺 探訪日 平成19年5月13日(日)雨天決行 集合場所 JR三ノ宮駅東300m 観光バス発着所 集合時間 午前8時15分集合、8時30分出発 参加費 6,500円(…

(108) 伝説は現代人の心の栄養

阪本信子 会員 「経が島」「慈心房」「祇園女御」は「入道死去」から延長された付随説話ですが、何れも彼の悪行を誇張した前半の内容を宥和するもので、只者でない英雄清盛をアピールしています。 清盛は宋貿易のため音戸瀬戸の掘削、大輪田泊の修築などで瀬…

 ◇4月例会のご案内◇

テーマ: DNAは歴史を語る(その五) 天皇家の安定な相続方式は成り立つか 日 時: 平成19年4月1日(日)13:30より15:00頃まで 場 所: 兵庫県民会館 304号室JR・阪神「元町駅」の山側、徒歩7分。地下鉄「県庁前駅」1-2出口 参加費: 500円(申込み不要・自由…

(107) 清盛の昇進は実力です

阪本信子 会員 分不相応が文句なしに悪い事とされた当時、清盛に対する非難は卑賤の身をもって俄に成り上がったことが最たるものでした。 門閥、血統のお墨付きが何よりも権威の裏づけとなるもので、平家物語作者は清盛白河院御落胤説を「祇園女御」で展開し…

(106) 清盛はやっぱり偉かった

阪本信子 会員 清盛悪人説は長い間、庶民の間で定着していましたが、一体彼はどんな悪いことをしたのでしょうか。 権勢をほしいままにしたと言われますが、藤原氏の真綿で首を絞めるような陰湿さと比べればカワイイもので、清盛への非難は既得権を失った貴族…

(105) 説話は三面記事?

阪本信子 会員 「平家物語」には多くの説話が語られており、説話の集積の上に成立っていると言っても過言ではありません。 説話は適当に短い話で、一話完結でもよく、庶民の好む話で啓蒙的な働きもします。 「平家物語」において、それは物語の全体を貫く趣…

(104) 清盛が落ち着きたかったのは東国?

阪本信子 会員 源季貞は平家滅亡後も娘婿の縁で生き延び、そのため彼の和歌は実名で後世に伝えられていますが、その中に注目すべきものがあります。 月詣和歌集 巻10 哀傷の部に同僚平貞能からの手紙をみて詠んだとの詞書があり 東路に行きて住まんと言い置…

 ◇3月例会のご案内◇

日 時: 平成19年3月4日(日)13:30より15:00頃まで 場 所: 兵庫県民会館 304号室JR・阪神「元町駅」の山側、徒歩7分。地下鉄「県庁前駅」1-2出口 参加費: 500円(申込み不要・自由参加) 主 催: 兵庫歴史研究会 問合せ: ℡ 078-592-1621 梅村伸雄 講 師: 中…

(103) 平家株の下落とどまらず

阪本信子 会員 公卿会議において宗盛が求めた源氏追討の議決は、平家の得になることは指一本動かしたくない法皇たちの是認する所ではありませんでした。 それどころか、源氏攻撃を当分の間中止して彼らの出方を見るというのですから、そこには「軍事部門担当…

(102) 平家が得する事は大嫌い

阪本信子 会員 平家にとって頼朝をはじめ反平家勢力は滅ぼさなくては一族存続は不可能です。 しかし、法皇を始め朝廷貴族たちは平家であろうと、源氏であろうと自分達の利益が確保できればよいのであり、平家のようにどうしても亡ぼさなくてはという意識はあ…

(101) やはり後白河は役者が一枚上

阪本信子 会員 公卿会議の席上で、父清盛の非礼を詫び、法皇に政権をお返しするという、一見無条件降伏したかのような宗盛の本意はどこにあったのでしょうか。 実はこの会議の招集は宗盛が法皇に持ちかけたものでした。 いまや兵糧、兵員調達は平家独力では…

(100) 清盛死ねば後白河の天下

阪本信子 会員 清盛が無念の思いを残して死んだあと、果たして平家は清盛の危惧した通りになりました。 宗盛では到底海千山千の後白河法皇と五分五分に渡り合うのは無理で、今まで持っていた国政主導権を維持することはできませんでした。 法皇が院政を復活…

(99) 畳の上で死ねない悪人?

阪本信子 会員 「玉葉」において兼実は清盛の死について、「彼のやったことから考えると、敵に殺され首をやり先に懸けられ屍は戦場に曝される筈なのに、病気で死ぬとは運の良い男だ」といっています。しかし、清盛は今平家存亡のとき、戦場に敵と戦って死ぬ…