(110) 赤は中国の正色

                              阪本信子 会員
 所謂源平時代の戦いは源平二氏の争いであり、敵味方の識別は赤と白の二色で用が足りていました。
 どちらが先に何色を採用したのかについては、平家が朝廷軍の軍旗であった赤色を先んじて採用し、それに対抗する色として源氏は白色を使うようになったのです。
 しかし、赤色は染料も高価で金持ち平家の好みそうな色です。
 これに対して源氏の白色は神道では清浄無垢を意味する最高の色で、日本の色と言えるかもしれません。
 朝廷軍旗の色が赤であったという所以は中国にあります。
 古代より中国は諸国の興亡絶え間なく、国によって国色というものがありました。
 日本に多くの文化をもたらした漢は赤色で、高祖劉邦赤旗を用いていました。朝廷が赤を軍旗の色としたのは、恐らくここに起因するのではないかと私は思っています。
 そのためか現在使われている中国語の単語にも、赤のつく言葉には良い意味のものが多いようです。
 例えば紅旗(革命)、紅星(改革)、紅貨(宝石などの貴重品)、紅人(信頼できる人)、紅事(婚礼、目出度いこと)、紅票(優待権)、紅装(おしゃれ)などで、それに引き換え白色のほうは白花(ほらを吹く)、白事(葬式)、白死(犬死)、白飯(おかずのない食事)、白頼(ごまかす)、白痴などひどいものです。
 そういえば中国の旗は赤地に星ですね。 (つづく)