2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

(144) 歌の世界も俗臭紛々

阪本信子 会員 平忠度は都を出るにあたり、師事していた藤原俊成が当時勅撰集の撰進を命じられていた為、自分の歌を一首なりとも入れて下さいと歌集を託して西へ去りました。 あの当時の人にとって勅撰集に自分の歌が入るということが、どれ程名誉なことか。…

(143) 朝敵はそんなに悪いの?

阪本信子 会員 残念ながら、平家の貴族化は進んでおり、平治の乱以来の平家繁栄の中で、戦いの経験者は少なくなり、生まれながらに貴族文化の中で育ち、文化教養面では平均水準以上の優れた人物が輩出していたと思います。 貴族たちは文の占有者は自分達だと…

(142) 妻子同伴で戦えますか?

阪本信子 会員 数ある妻子の別れの中で、作者が特に維盛の場合を取り上げたのは、後に維盛が熊野沖で入水自殺する原因が妻子への煩悩、妄執によるものと考えているからで、その為には彼の家族愛を特記する必要があったのです。 戦乱というのは生木を裂くよう…

(141) 都に残りたい妻

阪本信子 会員 都落ちの時、平家公達の中には妻子を同伴するものもあり、また残してゆく者もいました。「平家物語」では残し組の維盛について妻子との別れを長々と語っています。 彼は25歳、宮中でも大評判のイケメンで、その容姿は「建礼門院右京大夫集」の…