2005-01-01から1年間の記事一覧

 七夕まつりは8月に(その1)

小合彬生 会員 10年ほど前でしたか、『たなばた祭り』について、「歴研ひろば」に投稿したことがあります。どうして毎年梅雨のさなかに星祭が行われるのか。それを分析したものでした。 今年もまた、雲の中、織姫さま(琴座のベガ)、彦星(鷲座のアルタイル…

(27) 懲りない男、成親

阪本信子 会員 平家物語において、鹿の谷事件は反平家運動を政治的な視点でなく、お涙頂戴の個人的感傷話として扱っています。 こういう話は得てして涙にごまかされ、事件の本質は見のがされ易いものです。 この事件の当事者は何れも中央から疎外され、政治…

(八)

義経の実像 一の谷合戦における鵯越の逆落し 梅村伸雄 会員 逆落し 平家物語の諸本が認める逆落しの崖は、大別して延慶本・源平盛衰記・四部合戦状本・南都本・長門本と流布本系(流布本・覚一本・八坂本・百二十句本)の六つに分けられるが、それぞれ表現方…

(26) 親孝行な成経

阪本信子 会員 鹿の谷事件の首謀者と目される藤原成親は、重盛との深い姻戚関係があり、重盛の懇願で命は助けられ備前へ流罪となりました。祖父忠盛が良かれと思って結んだ姻戚関係ですが、ここに至っては、重盛の足を引っ張る錘となっています。 「平家物語…

(2005/09/04)平治物語絵巻を語る

◇9月の例会の案内 ◇ 日 時 9月4日(日)13時30分〜 会 場 兵庫県民会館1202号室 演 題 「平治物語絵巻を語る」 講 師 百橋明穂先生 神戸大学教授 参加費 会員三百円 一般五百円 中世美術史の専門家、神戸大学教授どのはし百橋あきほ明穂先生を招…

(25) 成親の場合

阪本信子 会員 平家打倒を目指した鹿の谷事件の背後には、複雑な当時の政治的要因があるのですが、平家物語は庶民をも含む聴衆を対象とした、琵琶法師の語る台本であり、庶民には難しい話はわからないし、面白くもないでしょう。 そこで作者が考え出したのが…

(2005/08/07)『諸家仕置伺留書』

◇古文書教室ご案内◇ 日 時 8月7日(日)午前10時30分〜 会 場 県民会館 1203号室 講 師 北村六合光会員 会 費 会員 五百円 一般 七百円 テキスト『諸家仕置伺留書』 買い集めた古文書関係書物は「つんどく」に成果て、「習うより馴れろ」が学習の鉄…

(2005/08/20) 『源氏揃』

◇『平家物語』講座案内◇ 日 時 8月20日(土)午後1時30分〜 会 場 県民会館 1202号室 講 師 阪本信子会員 会 費 会員 三百円 一般 五百円 頼政立つ。でも以仁王の令旨によって兵を挙げたのは頼政だけではありません。

(七)

義経の実像 一の谷合戦における鵯越の逆落し 梅村伸雄 会員 陽動作戦 矢合わせと決められた七日の卯の刻(午前6時)を待ち兼ねたように合戦が始まった。 塩屋で夜明けを待っていた土肥・田代の軍勢、須磨の鉢伏山の麓に陣を布いた平家の西の手に襲い掛かった…

(24)鹿の谷事件

阪本信子 会員 権力を握る者はその権力が強くなればそれに比例して、必ず抵抗勢力が発生するものです。 栄えるということは、同時に亡びの因子を育てていると認識すべきで、大磐石のごとき平家も板子一枚の下には抵抗勢力の不満が渦巻いていたのです。鹿の谷…

(六)

義経の実像 一の谷合戦における鵯越の逆落し 梅村伸雄 会員 鵯越での出来事 『歴代皇紀』『一代要記』には福原の南に一の谷があると記されているが、鵯越から見下ろした和田岬は丁度福原の南に当たる。その和田岬に輝く灯炉堂の明かりを指差しながら多賀菅六…

(23)清盛はどんな悪いことをしたの?

阪本信子 会員 平家物語における重盛賛美は、歯の浮くような美辞麗句のオンパレードで、とてもこの世の人とは思われません。 彼は壇ノ浦滅亡の時には既に死んでいて、滅亡についての責任を直接問われない立場にいたからで、もしこのとき生きていたら、生きて…

(22)聖人君子の重盛

阪本信子 会員 頼山陽の『日本外史』にある「忠ならんと欲すれば則ち孝ならず。孝ならんと欲すれば則ち孝ならず。重盛の進退ここに窮れり。 生きてこの惑を見んよりは死するに如かず」 はかつての忠君愛国の大日本帝国の臣民にとっては、涙を流して喜ぶ有名…

その8 名児の浜辺の住吉

『日本人の認識の誤りを指摘する』 神戸にあった古代の難波 梅村伸雄 会員 歴史の謎解きキーワード「名児の浜辺」から、次に探し出せたのが、人々の崇敬を集める住吉の大神の地である。 嘉応2年(1170)の住吉社歌合に於いて、後白河法皇の皇女斎宮亮子(り…

(21)平家の娘たち(四)(徳子その3)

阪本信子 会員 建礼門院徳子は平家物語によると37歳で寂光院において大往生したことになっています。 寂光院は現在京都観光名所のうち女性たちに人気のあるスポットになっていますが、訪れる人達はここで彼女は死んだと信じ、一族の全てを失った後の彼女の苦…

(2005/07/16) 『法皇被流』

◇『平家物語』講座案内◇ 日 時 7月16日(土)午後1時30分〜 会 場 県民会館 1202号室 講 師 阪本信子会員 会 費 会員 三百円 一般 五百円 内 容 『法皇被流』 清盛悪行の第一といわれる、後白河法皇の城南離宮への幽閉です。 被害者顔の法皇は本当に被…

(2005/07/17)『諸家仕置伺留書』

◇古文書教室ご案内◇ 日 時 7月17日(日)午前10時30分〜 会 場 県民会館 1203号室 講 師 北村六合光会員 会 費 会員 五百円 一般 七百円 テキスト『諸家仕置伺留書』 附札文書による幕府への御伺いの内容は、こんな些細なことまで幕府の指示を仰がね…

その7 名児の浜の田鶴

『日本人の認識の誤りを指摘する』 神戸にあった古代の難波 梅村伸雄 会員 和歌の大御所藤原俊成は、「雨後月といふことを」と題し、『新千載和歌集』に次の様な歌を詠んでいる。 吹き払ふ あなしの風に 雲晴れて なごの門(と)渡る 有明の月

(20)平家の娘たち(三)(徳子その2)

阪本信子 会員 関連資料の極めて少ない徳子について、後世の人たちは様々な人物像に造りあげました。 平家物語の「大原御幸」においては、別人かと思われる程饒舌にしゃべり、堂々とした論理で大独演会を展開しています。 そんなにしゃべれるならば、平家繁…

(2005/08/07)日露戦争を語る

◇8月の例会の案内◇ 日 時 8月7日(日)13時30分〜 会 場 兵庫県民会館304号室 演 題 「日露戦争を語る」 講 師 種子島 経 先生 参加費 会員三百円 一般五百円 クルマ屋一代の私と日露戦争 朝鮮半島、100年前と現在 大津事件、明治24年(18…

境界争いの歴史的考察(4)

中西輝夫 会員 池田家 その4 池田家の系図と直接関係は有りませんが、一族に関わる話として次のようなことがありますので少し述べて見ます。 これは大石内蔵助に関わることです。 小牧長久手で討死した輝政の兄之助の子、由之は幼少のため家督相続が出来ず…

尼崎の歴史 ぶらり報告 五月十四日 (土) 午後一時阪神尼崎駅前から出発したのは総勢三十七人で、天気は良いし、寒くもなく、暑くもなく散歩日和を楽しみました。 歩き出してすぐ、目の前に出現した尼崎城の石垣、ここでの会長による尼崎の歴史説明は室町時代…

(19)平家の娘たち(二)(徳子その1)

阪本信子 会員 清盛の娘の中で一番知名度の高いのは建礼門院徳子でしょう。 母は時子で高倉天皇の中宮となり平家の前途の幸運を約束したかに見える安徳天皇を生んだ女性で、平家が存続していれば殊勲甲の栄誉が与えられる筈でした。 私の女の眼からの厳しい…

その6 名児の浜の赤石

『日本人の認識の誤りを指摘する』 神戸にあった古代の難波 梅村伸雄 会員 では、名児の浜の名の由来は何かと言えば、晩年の定家が「名所」と題して、いにしえの悲しい出来事を詠んでいる。 なごの海人の 潜(かず)く白玉 たまさかに 出でて帰らぬ 闇路とも…

その5 名児の浜

『日本人の認識の誤りを指摘する』 神戸にあった古代の難波 梅村伸雄 会員 神戸の歴史は、古代から中世にかけての古記録が残されていないため、殆ど分からない、と言うのが史学界の哀れな言い訳である。ただ、そのような古記録や埋蔵文化財のみが歴史を実証…

(18)平家の娘たち(一)

阪本信子 会員 現代において皇室と姻戚関係を結ぶメリットは減少し、なるべく皇族との婚姻は遠慮したいくらいです。 しかし平安時代、藤原摂関家は娘を天皇の後宮にいれ、生まれた皇子を天皇にするというやり方で権力、権威を掌握していました。 その意味で…

(2005/06/18) 『行隆之沙汰』

◇『平家物語』講座案内◇ 日 時 6月18日(土)午後1時30分〜 会 場 県民会館 1202号室 講 師 阪本信子会員 会 費 会員 三百円 一般 五百円 内 容 『行隆之沙汰』 治承の政変で浮かぶ者、沈む者。「人間万事塞翁馬」です。

(17) 「殿上の闇討」事件の不思議な判決

阪本信子 会員 豊明の節会の夜、貴族たちは忠盛を闇討ち(とご大層な言い方ですが、殺すとか傷つけるという意味ではない)しようと計画しました。 忠盛は前もって知り、銀紙を貼った鞘巻を薄明かりの中で抜いてみせると、真剣に見えて貴族たちは脅え、計画は中…

その4 赤石の城

『日本人の認識の誤りを指摘する』 神戸にあった古代の難波 梅村伸雄 会員 次の赤石八景は、印南の鹿の鳴声は義経に逆落としの勇気を与えたと言われ、「印南鹿鳴」の歌題を与えられたが、義経が逆落としを決断するに際して、鵯越で出会った翁に「さようの所…

(16) 貴族に妬まれた平家繁栄

阪本信子 会員 現代人から見ると、貴族といえば一括りでハイソサェテイと認識していますが、これにはピンからキリまであり、ピンの方は摂政、関白、大臣、納言、参議で公卿といわれ、今風に言えば閣僚クラスで、これにはそれ相当の家柄、血統が必要で、本人…