(157) 俺は偉いんだぞ!

                              阪本信子 会員
 平家を九州から追い出した主戦力は緒方維義で、彼は「恐ろしき者の末なり」といわれていた。
 彼の先祖大神維基は、高千穂大明神(蛇の化身)が身分高い男に姿を変え、長者の娘に通って生まれた子であり、その末裔が緒方荘に在住して大神姓から緒方姓に変わったのです。
 大和の大神神社のご神体三輪山も蛇の化身で、活玉依姫のところへ通い男子が生まれたという古事記三輪山伝説をなぞらえ、この話は緒方サイドから発信されたもので、ご丁寧に維義のわきの下に「うろこ」があったというおまけがついています。
 蛇は神秘的霊能力を持つと信じられていたので、蛇神婚姻譚は各地で伝わっています。
 河野通信も母親が大三島三島大明神に参篭中、蛇と寄り添って寝た後に生まれ、生まれた時顔と両頬に「うろこ」があったと伝えていますが、寄り添って寝たのは案外人間の男だったのかもしれません。
 自分に権威をつけ、カリスマ性を感じさせる為には、「○○天皇の末裔」というのが一番効果があるのですが、中央高級貴族の子孫とか、人間以外の神仏、霊能力を感じさせる竜とか蛇というのも使われています。
つまり自分は「ナミ」の人間ではない、お前たちとは違った世界、異次元から来たスーパーマンと思わせ、統率力を高めるのが目的だったと思います。
 それを信じるか信じないかは人それぞれですが、何れにせよ信じさせるに足る本人の資質が必須条件であることはいうまでもありません。  (つづく)