(137) 二代目は辛いね

                              阪本信子 会員
 日本歴史上、大氏族の滅亡は多々ありますが、ワンマン・カリスマ指導者によって短期間の間に覇権を手にした政権は、往々にしてその指導者の死をもって崩壊現象を起こしています。
 織田家、豊臣家、平家しかりですが、武田家もその部類に入るでしょう。何れも卓抜した後継者を持たず、これを補佐するブレーンに恵まれなかったことが指摘されます。
 しかし、いかに実の息子としてDNAを引き継いでいるとはいうものの、初代と同質、同レベルを求めるのは無理というもので、親が偉すぎるのは見方によれば悲劇です。
 カリスマ指導者清盛が死ぬと、平家の屋台骨はガタガタと音を立てて崩れてゆきました。
 二代目の宗盛は武士というより、貴族といった方が相応しく、平和時の指導者としては人間的にも優れ、何ら問題はないのですが、平家一門の危機存亡の混乱期には不適切としかいいようが無い人物で、平家一門にとって不運なことでした。
 日露戦争において、軍人よりも文人、学者に近い乃木大将のもとで、また第二次大戦中の無能な指導者によって、いかに多くの犠牲が支払われたことでしょう。
 適切なリーダーを持たない部下の悲劇は、現代の政治・企業にも言えることです。        
 混乱時にはそれに適したリーダーを、平和な時にはそれなりのリーダーが求められますが、平和ボケした現在の政治家に緊急事態処理能力を求めるのは無理なんでしょうかね。(つづく)