(125) 信子随筆 「人は見た目が9割?」

                              阪本信子 会員
 新潮新書人は見た目が9割」のタイトルを見る限りにおいて、この断定的な言葉は、非常に偏見を促すものです。
「人間は中身よ」とやせ我慢をしても、実際にそれは否定できないことで、性格美人とか知的美人といってもそらぞらしい。第一、性格美男とはいいませんね。
 「能力のあるブスよりも頭の悪い美人の方が良い」とバカな男は言い、「普通の会話においても外見によって吸収率が左右される」とまでいわれると、この本は美容整形外科病院の手先ではないかと疑ってしまいます。
 しかし、最近の事件の当事者を見て、人相と中身が乖離している人の多いこと!
 温厚篤実そのもので、常識が着物を着ているような顔をして、朝鮮総連を手玉にとった元公安調査庁長官緒方重威、初の防衛大臣になって舞い上がり、とんでもない失言をして辞任した久間防衛相など何れも好々爺の善人面です。
 グッドウイルの折口会長にしても、良心的なインテリ顔でその下に悪知恵が渦巻いているとはとても思えません。
 つまり、彼らの場合は見た目の9割で人は騙され、1割の本当の顔に人々は気がつかないのです。
 選挙中の政治家の顔は9割どころか10割が見た目を意識した顔になります。
 昨今は一目で危険人物と分かる人の方が安心できるのかもしれません。なにしろ、普通の人が何をするのか分からない世の中ですから。 (つづく)