(8)平家はお金持ち

                                 阪本信子 会員
http://d.hatena.ne.jp/hyogorekiken/20050321 からの続き
 吉川英治さんの書かれた「新平家物語」をはじめ多くの作家が平家の物語を書かれ、今年はNHK大河ドラマ義経」によってフィーバーになっています。
 それについて史実云々をあげつらうつもりはありませんが、その草分けの「吉川平家」について一言わせてもらえれば、清盛の若い頃貧乏だったというのは、豊臣秀吉サクセスストーリーの清盛バージョンで余りにも史実と違っているのです。
 父の忠盛は財産家として知られた人物で、その父、つまり清盛の祖父正盛が政界へ乗り出して以来、法皇をはじめ朝廷の要人への献金、献納、サービス攻勢は半端でなく、金にものいわせての出世、昇進でした。それができたのは院政というアブノーマルな政治体制であったからです。
 しかし、このことは当時誰でもやっていることで、プレゼント作戦は古今東西を問わず、出世の近道でした。
 問題はその標的の確実さであり、財源獲得の手段です。祖父正盛以来、財テク能力が抜群であったのは確かで、これは平家のDNAの特質かもしれません。
 いつの時代にも言えるかもしれませんが、政治的才能は経済的才能も併せ持たなければ有効に働きません。つまり政治家として成功するには時勢に合った政治ビジョンも必要でしょうが、金集め、金使いのテクニックに長けていることが肝要です。
 厳島神社に奉納された「平家納経」から平家の栄華を偲んで下さい。