(3)
阪本信子 会員
http://d.hatena.ne.jp/hyogorekiken/20050213 からの続き
平家は貴族化したために亡んだといわれています。
これは貴族化した武士は弱いというイメージがあるからで、それは貴族に対する偏った認識によるものです。
極端に言えば都の貴族は儀式や宴会に明け暮れ、歌を詠み、頭の中には女のことしか考えない人種であるという定義です。
イソップ童話の「蟻とキリギリス」のように、キリギリスは亡ぶ運命にあると言うのですが、これは多くの人が、貴族を「源氏物語」のフィルターを通して見ているからです。
「源氏物語」は紫式部という狭い世界に生きている一女性の頭の中に描かれた虚構、小説であり、男の本領、本音は歴史始まって以来、どの時代でも恋や歌ではありません。
ネガティブ、ポジティブと方法、手段に違いがあるとはいえ、権力掌握のために命をかけるのは何れも同じです。
平家は貴族政治と武家政治の狭間に急成長した一族で、直裁に武家政治への移行は無理で、両者折衷の形をとったのはやむを得ざるの結果です。
しかし、保元、平治の乱を経て、馬上天下をとった平家は武士以外の何物でもないと断言します。